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みんなは私のことをそっとしておいてくれた。

私は部屋に入ると眠気に襲われ、とりあえず寝ることにした。

やはり1番体を休ませることが出来るのは睡眠なのだ。

1度目をつぶると深い眠りに落ちた。






目を開けると窓から日差しが差し込んでいた。

どうやらとっくに夜は明けたらしい。

昨日と同じ服装のままリビングに行った。

「おはよう」

そう優しく声をかけてくれたのは倉谷だった。

「おはようございます…」

なぜか気まずくて、冷蔵庫の麦茶を1杯飲んだ。

「どう?ぐっすり眠れた?」

「あっ…はい…」

「そっか…良かった。」

倉谷はそっと微笑んだ。

その先は無言だった。

2人とも食パンを食べながら黙ってテレビを見ていた。

政治家の汚職、殺人事件、芸能人の逮捕…

黒い話ばっか…

世の中ってこんなにも悪いものだったかな?

倉谷は朝食を食べ終わると、やっと口を開いた。

「あのさ…実家にいるときのこと聞いても大丈夫?」

私は迷ったけど、断る理由もない。

「はい、大丈夫です。」

「花音ちゃんのお母さんってどんな人?」

「えっ…?」

そんなこと?

あの日何があったのかを聞かれると思ってた。

まぁ、親のこと聞かれるのも嫌だけどさ。

「私の母は…父のために生きている、ただの引き立て役です。」

1度話し始めたらムカつくことは止まらない。

「あの人がしていることは全て父のためで私や美音のためではなくて…あとは周りに良いように見せたいんでしょうね。『自分はこれだけ優秀な子どもを育てました』って。実際は何もしてないのに。」





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