Share Heart
「じゃあ、お父さんは?」

「父は…」

私は何も言えなかった。

すると、倉谷はんっ?とかしげた。

「私は父のことは何も知らないんです。でも、父も自分のために生きている。これだけは言えます。」

自信を持って言えた。

あの人のことなんか何も知らないし、知りたくもない。

でも、これだけは見れば分かってしまうのだ。

「じゃあ、美音ちゃんは?花音ちゃんにとってどんな存在?」

「美音は家族の中で唯一私が心を許せる人です。明るくてとっても心の優しい子です。だから、美音はあんなところに居ちゃいけないんです…なのに…」

あの日のことを思い出してしまった。

目からこぼれる涙。

泣いてる暇なんてないのに。

美音のこと助けるって言ったのに。

何も出来てないじゃん。

「なんで動こうとしない。」

顔を上げるとそこには神無月がいた。

「結局は自分が傷つくのが嫌なんだろう。お前にとって自分が1番なんだろ。子は親に似るんだな。」

「そんなんじゃない!」

私は思いっきり立ち上がった。

手をついたテーブルが揺れる。

「なら美音を助けてやれよ!あの家族で美音が信頼出来るのはお前だけだろ!?」

そうだよ。

私何してんの?

本当にバカ。

言われなきゃ動けないなんて。

美音を助けてあげられるのは私だけなんだ。
< 96 / 111 >

この作品をシェア

pagetop