泥酔彼女
答えられない。
もしここで肯定したら?
今まで男として見ていなかった奴から、実はそんな対象で見られてましたって彼女が知ったら?
ドン引くに決まってる。
じゃあ否定は? それも出来るはずない。
キスしても構わないどころか、キスしたい分類なんだよお前は。
黙り込んだ俺に、沢村は業を煮やしたらしい。
その細指が伸びてきて、俺のネクタイのノットをぐいっと掴み上げた。
がくがく揺さ振られながら。
脳味噌揺れてるんですけど。
「答えろっつうのよこのヤリ逃げ男! 何よ何よいつも口を開けば嫌味と悪口は立て板に水の癖に! 秘書課のふんわり砂糖菓子女子には鼻の下伸ばす癖に! お姫様抱っこする癖にー!!」
「待て、落ち着け! 舌噛むわ! …ハア? お前、まだ酔ってるだろ」
「酔ってるよ酔ってなきゃこんな事言える訳無いでしょ! どーせ私なんか米俵と同じなんだからー!」
「米俵どこから出てきた! 意味分かんねー! とりあえず手を放せ…!」
「うわあん!!」
秘書課? お姫様抱っこ? 米俵? 何の話かさっぱり見えない。
あ、多分秘書課はアレだな。ちょっと前に告白された事かな。