泥酔彼女
「…むっつりですか月島。」
「いえ、俺はオープンスケベです」
「こちとら初心者なんですけど」
「だろうな。前歯ぶつけやがって、下手くそ」
「ぐぬぬ…!」
キスぐらい初めてじゃないやい。
こんなにしつこいのをされた事がないだけだわい。
しれっと悪びれずに私を見下ろす月島の顔は、相変わらず憎たらしいほど整っている。
いつものように悪態を吐くのは変わらないけれど、注いでくれる眼差しは和らいでいて、とても優しい。
とても優しい。
とても、優しい。
……優し過ぎる。
彼は胡散臭いほど綺麗な微笑みを傾け、長躯を屈めてぐっと私の顔を間近く覗き込んだ。