陽のあたる場所へ


……「沙織、大丈夫か?」……

不意に頭の中に、亮の声が聞こえた。

壁にもたれたまま、握りしめていたスマホを見つめると、その声に導かれるように、沙織の指は、亮のアドレスを探し、通話キーを押す。

呼び出し音が一回して、それを聞いた途端、我に返った沙織は、慌てて通話終了のキーを押し、電話を切った。


…何をやってるんだ?…
こんなこと、亮に話して何になるんだ…。
それ以前に、こんな話を亮にできる筈もない。
親友の光里にすら話せないのに…。

光里には…沙織の恋の相手が誰なのかを伏せたまま、身体の関係があることを打ち明けている以上、尚更話せはしない。


誰か助けて…。
このまま胸の中に溜め込んでおいたら、破裂しそうなほど膨らんでしまった想いを、誰かが受け止めてくれるだけで、少しは救われるのに…。
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