陽のあたる場所へ
もう充分だと思った。
抱き締める腕の強さに、この言葉に…
あの時の亮の心の内側を知ることができて、沙織は満足だった。
こんな弱ってる時に、そんな言葉聞かせて、抱き締めるなんて反則だ…
そう思ったら、さっき、瞼の裏で無理に止めた涙が押し寄せて来た。
背中の震えで、沙織が泣いているのを察した亮は、その背中をゆっくり撫でた。
彼の掌から、身体を包む腕から、温もりが伝わって来る。
でも、もうあの頃には戻れない。
「亮…苦し…」
「あ…ごめん」
亮は、抱き締めていた腕をほどくと、沙織の両腕を掴み、沙織の目を見て言った。
「こっちに帰って来て、また沙織と会えたら…
沙織がまだ一人だったら…伝えたいと思ってたんだ。
沙織…、勝手なのはわかってる。だけど、もう一度、俺にチャンスをくれないか?」
…このまま、もう一度、亮の胸に飛び込んでしまえば、楽になれると思った。
でも、こんな優しい彼を、逃げ場にする訳には行かない。
本気で愛してるくれてるのなら尚更…だ。