陽のあたる場所へ
廊下で暫く何かを考え込んでいたであろう兄が、ゆっくり部屋に入って来た。
俺は、窓際の壁にもたれたまま、言葉もなく、ただ立ち竦んでいた。
兄は椅子に腰を下ろして膝の上に両肘を着き、両手で顔を覆ったまま暫く黙り込んでいたが、やがて顔を上げて口を開いた。
「お前からこんな仕打ちを受けるとは‥。残念だよ」
「ごめん、兄さん…。俺、実はずっと絢音さんのことが好きで…。
兄さんの恋人だから、いけないってずっと気持ち抑えてたんだけど…」
「そんな可愛いことを言って絢音に迫ったのか‥。
お前、男のくせに何だか色気あるもんな。色じかけで迫ったんだろ?お前の母親みたいに」
「え?…母が…何?」
いつもの優しく物腰の柔らかい兄とは全く違う、憎々しげな言い方に、たじろいでしまう。
そして、俺は衝撃の事実を知ることになる。