陽のあたる場所へ
「お前、何か家に帰りたくない事情があるのか?
それならこの部屋で良かったら好きに使っていいぞ」
明らかに俺の中で起こった異変に、只ならぬものを感じていたのだろうが、翔平はそれ以上 何も詮索しなかった。
翔平には一学年年下の恋人がいて、彼女も一人暮らしなので、お互いの部屋を行ったり来たりしているそうだ。
週の半分は居ないから、気兼ねは要らないと言った。
「一人でいたいなら俺は彼女の所へ行くし、話し相手が欲しいなら帰って来るから、遠慮なくそう言えよ」
翔平は 煙草をふかし、その煙に顔を顰めながら言った。
いつもそうだ…
優しい言葉や、照れ臭い言葉をかける時には、笑顔を見せるのは恥ずかしいのか、そうやって誤魔化す、奴の癖…。
彼の気持ちが心の中に染み渡って行く。
「ただ、お前の家には、ここに居ると連絡するぞ。
居場所が分かったら、連絡欲しいと頼まれてるからな。伯母さん、俺と龍司がまた仲良くなれたの喜んでたのに、心配かけてごめんね、って泣いてたぞ」
今は、母の気持ちなど聞きたくないと思ったが、翔平の立場もあるので、頷くしかなかった。
俺は、バイトの日数を増やし、できるだけシェアに近い形で、翔平の部屋に居候することになった。