陽のあたる場所へ
父と母からも、何度も電話があった。
数日後、母は、電話に出ない俺をバイト先の裏口で待ち構えていた。
心配と安堵が入り混じって、泣きそうな顔で俺の腕を掴んではさする母を、俺は一度だけ睨みつけ、顔を背けた。
何も言わずに突然 家を出て、電話にも出なかったのだから、何があったのかは想像がついただろう。
両親がずっと隠し続けて来た事実が発覚したことを、兄を問い詰めて聞いて、たまらず駆けつけたのだろう。
そして母は、俺の表情で、態度で、絶望の淵に叩き落としてしまったことを確信したのだろう。
「龍司…ごめんなさい。本当にごめんなさい…」
俺の手首を掴んだまま、その場に座り込んで泣き崩れた母の手をゆっくり剥がすと、俺は何も言わず背中を向けた。
罵りたい言葉が胸の中には渦巻いていたが、声にはならなかった。