陽のあたる場所へ


あの一件の数日後、兄にだけはメールをした。

本当なら、直接会って謝るべきだと思ったし、せめて電話でもと考えたけれど、うまく話す自信がなかったので、メールで、兄の母のこと、絢音さんのことを誠心誠意詫びた。

 

一日経って、兄から返事が届いた。

「親のことは、本当は龍司には全く責任はないんだ。
そんなことはわかってた。だからこそお前に話すつもりなんかなかったのに…。

絢音との一件も、相手あってのことだ。
お前だけのせいじゃない。
それに、どのみちうまく行ってたとも言い難かったしな。

なのに結局は、つまらない嫉妬で、何もかもぶちまけてしまった。
小さい男だと、つくづく嫌になったよ。
辛い話を聞かせてしまったし、龍司と義母さんを侮辱し傷つける言い方をして、悪かったと思ってるよ。
ごめんな…。

今は、お互いの為に、離れて暮らした方が良いのかもな。
でも…いつか、昔みたいな兄弟に戻れたらいいと思ってるよ。
‥‥キャッチボール、楽しかったな」


優しい言葉に、涙が溢れた。
だから、余計に自分が許せなくなった。




兄は あの日から数ヶ月経って、少しほとぼりが冷めた頃に、そして 俺の就職活動の時期を見計らい、姿を消したのだろうか…。

自分が消えることで、父が俺を必要とすること、

会社を継ぐ決意をすれば、俺が家に戻れる可能性が出て来ること、

そんなことを諸々考えてくれたのだろうか…。


そして兄自身も、俺や、父、俺の母とのしがらみから遠く離れたかったのかも知れない。

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