陽のあたる場所へ
口を半開きにして沙織と龍司のやり取りを見ていた吉沢が、隣の席の光里に向かって小声で話し掛ける。
「何だか社長と海野先輩の関係性、前と変わりましたよね?あんなに怒鳴り散らしてた社長が穏やかになったと言うか、海野先輩も明るい感じに戻ったと言うか…」
「そうね。あれが本来の沙織の姿だったよね」
光里は少し笑うと、パソコンに向き直り、キーボードを叩き始める。
「今や、海野先輩が社長を掌で転がしてる感じっつーか…一体どうしちゃったんだろ?
さすがの悪魔も、海野マジックの癒しビームについに墜ちたってことなのかな…」
右手でボールペンを回しながら、一人でブツブツと言っている吉沢に、光里は、手を止めると少し呆れた顔をして言った。
「吉沢~、何訳のわかんないこと言ってんの?…って言うか、私達が一番近くに居るのに、全然気付いてないとか…。あんたも結構鈍感なのね?」
「は?何の事ですか?」
「ま、時間の問題だし、沙織も吉沢の都合聞かなきゃって言ってたし、そろそろいいか…。
あのね、実は沙織…」
そっと手招きをした光里に、吉沢が椅子に座ったままキャスターを転がしながら近付くと、光里は口元に手を添え、吉沢の耳元に顔を寄せる。