陽のあたる場所へ


「!!!えーっ?!!マジっすか?!社長と、けっ!結?!」

椅子を跳ね飛ばす勢いで立ち上がった吉沢が、大声を上げる。

「吉沢、声がデカいって」

他の社員達が何事かと注目したので、光里が小声で嗜めるが、吉沢の耳には入っていない。



「吉沢?何だ?トラブルか」

吉沢が大騒ぎする様に気付き、龍司がデスクの向こうから声を掛ける。

「はっ、あ、いえっ!違います!」

「あ?何だ?今、俺を呼ばなかったか?」 

「いえっ!断じて呼んでません!」

吉沢の焦りまくった潔過ぎる返事に、光里がクスクス笑い出し、沙織と龍司は顔を見合わせた。



「別にわざわざ断言することはないだろう。おかしな奴だな。
ま、いいよ、何でもないんなら」

龍司が柔らかな笑みを浮かべ、まだ長いままの煙草を灰皿の上で揉み消した。

それを優しく見つめる沙織の表情を見て、光里と吉沢は顔を見合せ、穏やかな思いを共有するように笑い合った。
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