陽のあたる場所へ


「久留宮、新聞紙とビニール袋か何か持って来てくれる?
海野さんはもう少し手を冷やしておいた方がいいからさ」

「吉沢くん、もう大丈夫だから。私、社長室のお客様にお茶出さないといけないし…」

沙織は吉沢にも久留宮にも気を遣わせまいとそう言った。

「あ、じゃ久留宮、お前、代わりに持って行ってあげなよ。俺、ここ片付けとくから」

「はい!任せて下さい!」


やっと、彼女に笑顔が戻り、テキパキと新しい湯飲み茶碗を用意して、お茶を注ぎながら、沙織に話し掛ける。

「でも、だいたい社長も、海野先輩みたいなベテランさんに雑用とかお茶汲みさせるなんて、どうかしてますよねぇ?そんなの、新入社員にやらせればいいじゃないですかぁ」


この娘は、多分、世間で言うところの天然ちゃんなのだろうか。

私が仕事のミスが続いたり、社長に気に入られてないから雑用を押し付けられてることなんて、きっとみんな気付いてる。
なのに、それをわかっていない。

もし、わかった上で言ってるなら、嫌味以外の何物でもないが…。

そう思うと、沙織は苦笑いで返すしかなかった。

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