陽のあたる場所へ


「吉沢くん、ちょっとこれ、大袈裟過ぎない?」

保冷剤をつけて包帯でグルグル巻きにされた左手を見て、沙織が言う。

「痛みが引くまでの辛抱ですよ」

「でも、お陰様でもうそんな痛くないし…」

「いいんですよ。そのくらいしとかないと、また余計な仕事押し付けられるでしょ?」


割れ物の始末をして手当てをしてくれた上に、その後のことまで考えてくれてる…

沙織にだけ親切な訳ではなく、周りの人達の動きや、気持ちをいつもよく考えている。

「あれ?」とか、「おかしいなぁ」などと、つい独り言が出てしまうのは、誰でもよくあることなのだけれど、
そうすると吉沢がすかさず「どうしました?」と聞いて助けてくれるので、
「迂闊に独り言も言えないよね」なんて、光里と笑ったこともある。

自分も忙しい筈なのに…。
気配り男子とでも言えばいいのか…
とにかく優しく頼りになる後輩なのは確かだ。

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