アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜
「作って食べた。
 お前のもあるぞ」
と言うので、

「あっ、食べてきちゃいました。
 すみませんっ。

 居ると思わなかったので」
と言うと、

「そうか」
と少し寂しそうに言ったので、つい、言い訳しようとして、余計なことまで言ってしまう。

「すみません。
 だって、専務が……あ」

「専務?」

 出て行く言葉は止められなかったが、ボリュームは下げたつもりだった。

 だが、さすが桜田は聞き逃さなかったようだ。

「那智」

 逃げようとした襟許をつかまれる。

「お前、今まで、何処でなにしてたんだ?」

「いやっ。
 なにもやましいことはありませんっ。

 っていうか、いろいろとやましいのは、そっちじゃないんですかっ?」

「俺のは仕事だ」

「また、そんなこと言ってっ」
と反論しようとしたが、そのまま引きずられていった。

「遅刻しますからっ。
 桜田さんっ」


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