俺だけ見てれば、いーんだよ。





「那菜は?好きな人いるんじゃないの?」


泉とは親友なのに、恋バナってしたことない。

だって、好きなのは十夜だから。



泉に話したら、泉はもちろん十夜になにも言わないでおいてくれるだろうけど、私が意識してしまう。


だから、恋バナはずっと避けてきた。


泉に好きな人がいるって知らなかったのも、そのせいだ。


「那菜?」

「……いないよ、好きな人なんて……」

「フーン。ま、いいけどね」


「泉、ホントに告るの?」

「うん、クリスマス、ぼっちは嫌だもん」

「私、ぼっちなんだけど……」

「知らん。」



冷たい。



さみしいな、クリスマス。



昨年も家族と過ごしたな。



彼氏と過ごしてみたいけど、こんな弱虫じゃだめだよね。



告る?

まさか!

だってだめだったら、友達でもいられなくなる。

十夜は、私のことなんて何とも思ってないんだから。



同じクラスで、授業中十夜セット貸して、バカ言い合って笑って、泉と3人で。



たとえ片想いでも、それでも今が幸せだから。


いいの?


本当にそれで?



クラス替えしたらもう、終わりだよ?


十夜のこと、泉や、他の子に取られちゃっていいの?



……取られるも何も、私のものじゃないじゃない……。







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