ほんとのキミを、おしえてよ。



____キーンコーンカーンコーン


「あ、下校時刻」

チャイムがなって、下校の音楽が流れ始める。


「じゃ、中村さんまた明日ね」


「じゃーな、有紗ちゃん!」


今日も爽やかな笑顔を浮かべる五十嵐くんと楽しそうに教室を出る晴仁くんに私も合わせて声をかける。


「あ、うん。バイバイ二人ともー!」


うん。わからぬなら仕方ない。また、振り出しに戻ろう。

潔さは大事よね。

うんうんと一人で頷く。


お弁当しか入っていない軽いリュックをしょって、スキップしながら教室を出る。


はーあ、今日も結局収穫なしか。悔しいなあ。


すうっと息を吸い込んで、


「五十嵐くん、首洗って待ってなさーーーい!!!」


悔しい気持ちをぶつけるように、窓から見えるオレンジ色の空にむかって声をあげた。

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