不機嫌な恋なら、先生と

先生のサイン


正月気分なんてすぐ終わる。連休が終わり数日経った頃、そう思った。

もともと初売り後にバーゲンセールをする百貨店のような年末年始の忙しさを引きずる仕事ではないし、年明けてもうひとつ、念願が叶ったせいもある。

編集長に出した企画がひとつ通ったんだ。自分力を高める小説やエッセイ、漫画の特集記事だ。

小さい記事とはいえ、ライターさんとの打ち合わせの予定をたてたり、自分が主導となってできる仕事が増えたことが嬉しく思った。

デスクでスケジュール帳を開く。今日はこれから、いつものカフェで先生との打ち合わせの予定だった。

あの日、先生の家に泊まった日。

先生は、すぐ目覚めたかと思うと、自分の足でベッドへ向かった。私も仕事があったので、そのまま一度自宅へ戻ってから出社した。

熱は、夜には落ち着いて、大したことはなかったと先生から聞いたのは、その日の夜のメールだった。

その後のゲラもメールで送ったものだから、あれから顔を合わせていなかった。だけど、仕切り直しをするには丁度良かったように思う。心機一転、頑張れそうな気持ちでいっぱいだった。

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