不機嫌な恋なら、先生と
「ヒカリさん、酔うとイメージ変わりますよね。なんか可愛い」と花愛ちゃんが言う。
「分かる。普段厳しいから。ギャップがね」
「そういえば、なつめさん」
「ん?」
「なつめさんにも、聞きたかったことあったんですけど」
「うん」
「私に嫌いなことあるって教えてくれた時あったじゃないですか?あのとき一緒にいた男の人って、なつめさんの好きな人ですか?」
「えっ?なんで?」
「だって言ってたじゃないですか。あのとき、私に。
さっき、知らないうちに怖いことしてた。嫌われたくない人に弱音吐いちゃったって。
それってどう考えても好きな人に対しての気持ちだなって思って。
あの人のこと、言ったんじゃないですか?
なんかあのときの二人、特別な雰囲気があったから、ちょっと気になってたんです」
「え……」
「違いました?」と、私をじっと見つめた。
私の返事を待たずにKAMAさんが「あら。嫌だ。やっぱりあんた、あの人を狙ってたのね」と忌々しそうな顔をする。
「ち……違います。あの人は、憧れの人ではありますけど。私なんて、からかわれたりするだけで、そんな対象に見られてませんから。
だいたい釣り合わないですし、どうせするなら身分相応な恋をしたいですよ」と茶化して誤魔化した。