不機嫌な恋なら、先生と

「けっこう酔ってるね。座る?」と、先生が言うから、並んで座った。

「あ、KAMAさんに乾杯したから一気しなさいって言われて、最後にがばって飲んでしまって、ちょっとだけ酔ってます」

「心配だよね。そういうところ」

少し沈黙した。先生は、私から何か言うのを待っているのかもしれない。そんな気がして、切り出した。

「なんか先生のこと、考えたら会いたくなったんです。すごくすごく会いたくなったんです」

そう言ってから、伝えるのは、そういうことじゃなくて、私が先生をシカトしてしまった理由とかだと気づいて、慌てた。やっぱり、酔った勢いはよくない。でもここまで来てしまったら、言うしかない。

「あ、間違えた。そうじゃなくてですね」

「……間違えた?」

「あ、間違えてないです。正解です。正解なんですけど。言い方というか順番を間違えてしまってですね」

「何をどんな風に間違えたの?」と、先生はさすがにもう呆れていた。それはそうだと思う。支離滅裂にも程がある。

「えっと……まず私、箱崎なつめです」
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