不良王子と 普通女子。
ゴンッ!!
嫌な音がして、ふいに拘束が緩んだかと思うと、
ドサッという音と共に男の人が崩れ落ちた。
「え……?」
振り返ると、気持ち悪い男の人の代わりに、
明るい茶髪の男の子が立っていた。
男の子と目が合う。
その瞬間、優しく微笑んでくれたように見えて。
「うぅ……っ」
ホッとして涙腺が緩んだのか、涙が溢れてきた。
私 助かったんだ…
思わずその人に駆け寄って、抱きついてしまった。
「ちょ、おい…っ!!!」
その人の照れたような慌てる声が聞こえたけど、私は聞こえてなくて。
「マジかよ…」
しばらくして、そんな呟きが聞こえてきた。
でも結局 私の背中を ずっとさすってくれていた男の子は、
きっと優しいんだろうな…。
しばらくして、涙も乾いてきた頃。
ふと冷静になってみると、
見ず知らずの男の子に抱きついている現実に気付いた。
バッと離れる。
「ご、ごごごごめんなさい!!!」
勢いよく頭を下げる。
「…別にいーって。」
そう言われ、恐る恐る顔をあげる。
そうして、男の子の顔を初めてちゃんと見た。
「………ッ!!」
私が生きてきた中で、1番かっこいいと言えるぐらい整った顔立ち。
そんな男の子が、私を見て笑っていて。
「お前、変なやつだな。」
その瞬間、心臓が高鳴った気がした。