不良王子と 普通女子。

ゴンッ!!


嫌な音がして、ふいに拘束が緩んだかと思うと、

ドサッという音と共に男の人が崩れ落ちた。


「え……?」


振り返ると、気持ち悪い男の人の代わりに、

明るい茶髪の男の子が立っていた。


男の子と目が合う。


その瞬間、優しく微笑んでくれたように見えて。


「うぅ……っ」


ホッとして涙腺が緩んだのか、涙が溢れてきた。


私 助かったんだ…


思わずその人に駆け寄って、抱きついてしまった。


「ちょ、おい…っ!!!」


その人の照れたような慌てる声が聞こえたけど、私は聞こえてなくて。


「マジかよ…」


しばらくして、そんな呟きが聞こえてきた。


でも結局 私の背中を ずっとさすってくれていた男の子は、

きっと優しいんだろうな…。






しばらくして、涙も乾いてきた頃。


ふと冷静になってみると、
見ず知らずの男の子に抱きついている現実に気付いた。



バッと離れる。


「ご、ごごごごめんなさい!!!」


勢いよく頭を下げる。


「…別にいーって。」


そう言われ、恐る恐る顔をあげる。



そうして、男の子の顔を初めてちゃんと見た。


「………ッ!!」


私が生きてきた中で、1番かっこいいと言えるぐらい整った顔立ち。


そんな男の子が、私を見て笑っていて。




「お前、変なやつだな。」




その瞬間、心臓が高鳴った気がした。










< 11 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop