イブにあいましょう
そう紀章さんに言ってもらえたことが、私はとても嬉しかった。
20歳のあの頃よりも成長した、自立していると認めてもらえたような気がしたから。
・・・って、完全に自立できてなかったあの頃より、多少は社会に揉まれた今の方が成長してるのは、当たり前か。
つい笑いそうになった私は、それをごまかすために、「紀章さんは?」と聞いた。
「ん?俺?」
「あ、っと・・ごめんなさい。本田さんは、どうしてパリに・・・」
「おいおい。なんで今頃“本田さん”呼ばわりしてんだよ」
「え?だって、なんか・・・・・・ねぇ?」
「“ねぇ?”って俺にふられてもな。意味分かんねえよ」と言いながら、紀章さんは屈託なく笑っている。
でも、ピタッと笑うのを止めた紀章さんは、私に視線を定めると、「名前で呼んでいいよ」と言った。
「あの頃みたいに」と、口には出さなかったけど、その枕詞は何となく私に伝わってきたような気がして・・・ちょっとドキッとした。
20歳のあの頃よりも成長した、自立していると認めてもらえたような気がしたから。
・・・って、完全に自立できてなかったあの頃より、多少は社会に揉まれた今の方が成長してるのは、当たり前か。
つい笑いそうになった私は、それをごまかすために、「紀章さんは?」と聞いた。
「ん?俺?」
「あ、っと・・ごめんなさい。本田さんは、どうしてパリに・・・」
「おいおい。なんで今頃“本田さん”呼ばわりしてんだよ」
「え?だって、なんか・・・・・・ねぇ?」
「“ねぇ?”って俺にふられてもな。意味分かんねえよ」と言いながら、紀章さんは屈託なく笑っている。
でも、ピタッと笑うのを止めた紀章さんは、私に視線を定めると、「名前で呼んでいいよ」と言った。
「あの頃みたいに」と、口には出さなかったけど、その枕詞は何となく私に伝わってきたような気がして・・・ちょっとドキッとした。