イブにあいましょう
最初からファーストクラスのチケットを取っていたのだったら搭乗は最優先されるし、ラウンジも別にあるはずだ。
それに私は時間ギリギリ間に合った状態でこれに乗ったから・・・もし私が機内でぶっ倒れるなんて粗相をしでかさなければ、たとえ同じ飛行機に乗っていても、紀章さんに再会することはなかったのかもしれない。

と思うと、この再会がとんでもなく奇跡に等しいことに思えてくるから不思議だ。
・・・再会の形はどうであれ、ね。
・・・やっぱり私、体が弱って気力まで弱ってしまっているのかな・・・。

その時、客室乗務員が、私たちの席にやって来た。

「一条様。体調はいかがですか?」
「おかげさまで大分ラクになりました。ご迷惑をかけてしまって、本当に・・すみません。それより、私はもう大丈夫ですので、エコノミーの席に戻ります」

私は客室乗務員に言ったのに、なぜか紀章さんが「ダメだ」と即、言い返してきた。

< 9 / 60 >

この作品をシェア

pagetop