恋愛図書館
「全く気付きませんでしたか?

彼女、つわりが酷かったはずですが…」


その追究に。
慌てて当時の記憶を思い起こした。



そう言えばあの頃…

結歌の表情は暗くなって、日々やつれてた。


確かその時の俺は、それをわざとらしいと…
拒絶に対する当て付けみたいに感じてて。



キミは1人で苦しんで…

なのに俺の、食いもしない食事や洗濯まで…!


そんなキミに、ひたすら拒絶を繰り返してたなんて!



「俺はっ…!」


…なんて事を!!

堪らない気持ちで、顔を覆った。




そしてハッとする…


「もしかして、結歌が姿を消したのは…」

妊娠の事実を隠すため!?


広部さんは、俺の漠然とした推測を読んだかのように頷いた。



「あの時結歌は孤立した状況でした。

だから、全ての拒絶からサナの命を守るため。そして…

拒絶し続けてたあなたに、責任を背負わせないように。
あなたが彼女の親から、これ以上傷付けられないように。
さらには、事実を知ったあなたが苦しまないように。

早坂さんの人生を守るために、自分の姿を消したんです」



咄嗟に…!

口を覆って、溢れる激流の感情を抑え込んだ!
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