御曹司と溺甘ルームシェア
ののちゃんの肩を抱き、彼女の顔を覗き込むと目で小さく頷いた。

ここでお昼休みなのは有難い。ののちゃんのいい気分転換になる。

岡田も社内にいれば念のため呼んだ方がいいんだろうな。ののちゃんも落ち着くだろうし。

でも……そうなると響人もセットでついてきそうな気がする。

今あいつには会いたくない。会うのが怖い。

数日前の私なら、響人に婚約者がいると知ったら手放しで喜んだだろう。だけど今は違う。

胸が切なくなって苦しい。

ののちゃんがいなければ、この場から逃げ出していたかもしれない。

私はこれからどうなるの?

“お前はもういらない”って響人に言われたら、素直に野々宮の家に帰れる?

考えるだけで……想像するだけで胸が苦しい。
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