御曹司と溺甘ルームシェア
「……あの太っちょだぬき」

顔をしかめて思わず毒づく。

私にこんな恥をかかせて……。絶対に許せない。

それを見た店員は引きつった笑みを浮かべた。

「……あの野々宮さま、お支払はどうされますか?」

現金の持ち合わせはない。

カードが使用できない以上、今はドレスは買えない。

私は平静を装った。

「取り置きお願い出来るかしら?」

「生憎、こちらは入荷したばかりでして、本日中までなら可能ですが……」

店員は作り笑いをしながら言葉を濁す。

金を持ってない客に用はないってわけ?

今まで私がこの店でいくら使ったと思ってるのよ!

ブチッと私の頭の中で何かが切れる。

私はバッグを持ってソファーから立ち上がると、声を荒げた。

「じゃあ、結構よ。もう二度と来ないわ。こんな店!」
< 30 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop