御曹司と溺甘ルームシェア
会社を冷泉に乗っ取られたって自覚はあるのか?

こののほほん親父。

冷泉を崇めるような目で見るな!

「僕に任せて下されば問題ありません。ご安心下さい。浪費癖もすぐに直りますよ」

私を横目でチラリと見ると、冷泉はニコッと微笑んだ。

それから三十分、この無駄なやり取りを繰り返すと、冷泉は仕事があるからと言って私を連れて退出し、タクシーを呼んで冷泉商事に連れてきたのだ。

冷泉の父親にでも挨拶させるのかと思っていたのに、何故か普通のエレベーターではなく、入り口の左手にある業務用の大きなエレベーターに乗せられた。

何でこの私がこんなエレベーターに乗らなきゃいけないわけ?

冷泉が何を考えてるのかわからない。

しかも、こいつ地下二階のボタンを押したのだ。

婚約者になったというよりは、囚人になった気分。

冷泉も『調教』なんて言葉使ってたし……これから何が起こるか怖い。

冷泉を警戒しながらエレベーターの奥に立って扉の前にいるこいつと距離を取る。
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