御曹司と溺甘ルームシェア
「まさか。何なら今からホテルに行ってゲイじゃないことを証明しようか?」

冷泉の目が妖しく光る。

獲物を狙うような鋭い視線にビクッとなった私は、思わずエレベーターの壁に手をついた。後ずさろうにも、もうスペースはない。

じんましんの出る女なんか抱いても興醒めだろうに。

それに、冷泉みたいな男ならわざわざ私なんか相手にしなくても、女に困らないはず。

こいつ……本気なの?

この閉鎖空間では助けも呼べない。

内心ここから逃げ出したくてビクビクしていた。

「お前ってホント見かけによらず怖がりだな」

固まる私を見て、冷泉はやれやれといった様子で小さく溜め息をつく。

「冗談だよ。寧々も俺がお前を婚約者にした理由なんか考えず、いい加減諦めろよ。お前が婚約者だと俺も色々と都合がいい。下らない見合いを勧められることもないし、婚約者の不貞を心配する必要もないからな。仕事の邪魔をされるのはごめんだ」
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