御曹司と溺甘ルームシェア
『この方ですね』って、冷泉はいつこの人に私の話なんかしたんだろう。

「ああ。いろいろと手がかかると思うが、みんなと同じように指導してやって。寧々、こちらがメール室の責任者の高木さん」

クールな顔で冷泉が高木さんを紹介する。

「高木です。宜しくお願いします」

「……野々宮寧々です」

話についていけない私は、流されるまま自己紹介した。

「じゃあ、宜しく頼むよ。寧々もしっかり働けよ」

私を置いて立ち去ろうとする冷泉を慌てて呼び止める。

「ち、ちょっと待ちなさいよ!私が働くなら秘書室とかじゃない?こんなとこ、私に似つかわしくないわ」

「まともな事務もやったことがない人間が『秘書室』なんて言うなよ。寧々が秘書室に行ったら大混乱になる」

冷泉が私をバカにしたようにフンと鼻で笑う。

「私は野々宮家具の社長令嬢よ。こんな扱い許されるわけないわ!」

「寧々のお父さんの許可は取ってある。ここではお前は野々宮家具の社長令嬢じゃない。ただの寧々だ。俺の婚約者なんて話をしても無駄だよ」

自惚れるな!誰が自分からお前の婚約者なんて言うか!
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