御曹司と溺甘ルームシェア
冷泉だって私が料理出来ないのは鷹頼から聞いて知ってるはずだ。

あいつ絶対性格悪い。

バナナを食べ終わると、素早くシャワーを浴びた。

冷泉の愛用のシャンプーを使えば、あのシトラスの香りがして、あの抱擁を思い出した。

「ああ~、もう!何で思い出させるのよ!冷泉のバカ!」

シャワーの中で思い切り叫ぶ。

ここに居なくても私を翻弄するって……あんたはどんだけ悪魔なのよ。

シャワーを終えて、ダイニングルームに戻ると、私はさっきワインセラーで見つけたワインを手に取りほくそ笑む。

ボルドーの赤ワイン。このラベルは見覚えある。

これ……一本百万はするだろう。

はっきり言ってワインはあまり好きじゃないけど、高級ワインの銘柄くらいは知っている。

ブドウジュースの方が甘くて美味しいのにね。

でも、今は冷泉に一泡吹かせてやりたい。

私はワインを開けるとグラスに注いだ。
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