クールな社長の甘く危険な独占愛
社長室の明かりは消えていた。窓からは小さな雨粒が当たる音。オフィスビルのネオンがポツポツと窓から見えている。
社長はソファにいた。ジャケットを床に脱ぎ捨てて、白いシャツのまま仰向けに寝ている。腕で目を抑えて微動だにしない。
「社長」
さつきは小さく呼びかけた。
それでも返事はない。さつきは社長室の扉を後ろ手に閉めた。電気をつけようとスイッチに手を伸ばすと
「つけるな」
と低い声が聞こえた。
胸がとくんと脈打つ。
さつきはソファに歩み寄り、膝をついて絨毯の床に座り込んだ。
「……社長、あの」
恐る恐る声をかけた。
沈黙。小さな雨音。湿気た空気の香り。
「……なんでまだいるんだ」
社長がつぶやいた。
「聞きました。役員の方から」
「そうか」
社長の髪を撫でたい、そんな気持ちになったが、膝の上で拳を握りしめて我慢した。
「……どうなるんですか?」
さつきは雨音に消えてしまうほどの小さな声で尋ねた。
「俺はここを出て行く。それだけだよ」
「それからは?」
さつきが聞くと、社長が身体を起こした。シャツの背中がしわになっている。白いシャツが青く光っていた。
「どうなるかな」
やっと社長の顔が見えた。ふわふわの前髪が瞳にかかっている。それを右手でかきあげた。