深夜0時、キミと待ち合わせ。
「そうだ」


真夜中くんは何かを思い出したように、床に手を伸ばした。

椅子に隠れて分からなかったけれど、そこにはかばんが置いてあった。

真夜中くんも、寮に寄らないでまっすぐにここに来たんだ。
私と同じ。


「はい」

「あ……」


差し出されたから、手を広げてみると、ポンと乗せられたのは1冊の文庫本。

告白しながら、投げつけた、例の……。


「ずっと渡したくてさ。読みたいんじゃないかと思って。俺にぶん投げた本」

「……意地悪」

「そうだよ、知らなかったっけ?」

「知ってる……」


ふてくされる私を見て、満足げに笑う真夜中くん。

笑顔かわいい……とか思った私は、バカだ。
< 344 / 360 >

この作品をシェア

pagetop