誰にでも優しい上司に困惑


「あれ?大智は?」


『大智さんはお風呂に入ってるよー』



そっか、と言いながら
純也さんはソファに座っていた


私は夕食の準備をしていた
純也さん達がくるようになって2週間
ここ最近は、純也さんと友理ちゃんだけって日もある


『今日はカツ丼だから』


今日は友理ちゃんのリクエストだ
何か嫌な事があったのか、
カツ丼をリクエストしてきたメールに
何故か怒りマークの絵文字がついていた


「もしかして、友理のリクエスト?」


さすが彼氏だ
私が笑って頷くと
純也さんは項垂れていた



「また何かしたかなー?」


怒りの原因は純也さんなんだと思った
友理ちゃんは意外と束縛タイプだ
純也さんが女と話しているだけで
かなり怒ったりする人だ


そんなことで?と思ったけど
友理ちゃんを見ていると
なんだか羨ましく思う

私も素直に感情を出せたら……



そんなことを考えていたら
キッチンを挟んだカウンターに
純也さんが移動していた


『…っ、な、何か飲みます?大智さん、まだ上がらないと思うし…』


そういえば、純也さんと二人きりになった事がないな
今更ながら、少し緊張してしまう
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