強引同期が甘く豹変しました
「確か、入社して二カ月くらいの時だったかな…」
話しながら、過去の記憶を辿る。
あれは、入社して二カ月が経とうとしていた頃だった。
ある週末の日、仕事を終えた私は、紀子と沢ちゃんと森さんと四人で、いわゆる女子会をするために会社の近くのイタリアンレストランに向った。
私と紀子は部署も同じ総務部ということもあり、その頃にはもうすっかり仲が良くて。
システム事業部の沢ちゃんと森さんの二人も、結構それなりに仲が良くて。
お昼に四人でランチに行くことはあったけれど、四人が揃って夜に食事に行くのはその日が初めてだった。
翌日は休みということもあって、完全にプライベートな時間。
それぞれお酒も進んでくると、仕事の大変さを口にしたり、先輩のグチを言い合ったり、働くって思っていた以上に大変だね、なんて話をしていた。
そして酔いが回ってくると、女子会らしく恋愛トークも始まった。
「25歳くらいで結婚しようって言ってるんだ」
と、紀子が大学時代から付き合ってる彼氏との惚気話を始めたかと思ったら、沢ちゃんもそれに続いて。
「私の理想は佐伯先輩かな。本当優しくて、いつもキュンキュンするの」
同じ部署の先輩の話を、頬を赤らめながら照れくさそうに話してくれた。
私はその頃、一年ほど彼氏もいなくて、特に好きな人もいなかった。
ほんの少しだけ気になっていた人はいたけれど…あえてその場で話すことはせず、その日の恋愛トーク中は、ずっと聞き役に徹していた。