強引同期が甘く豹変しました
「ところで永井さんはどうなの?彼氏いるんだっけ?」
だけど、黙っていても自然と話の流れで沢ちゃんが私にも話題をふってきて。
質問をスルーするわけにもいかず、私はひとまず誤魔化すように笑って言った。
「残念ながら恋バナになるような話題は今はないかな」
わざとらしく、残念な表情を浮かべながら。
「じゃあ森さんは?」
すると沢ちゃんは、酔っているからか隣に座っていた森さんの方にターゲットを変え、グイグイ食い気味に質問を始めて。
「彼氏はいないんだっけ?」
「うん、いない」
「じゃあ好きな人は?」
「……うーん」
言いにくそうに森さんがそう答えると、なんだかその反応を見て楽しそうにさらに突っ込んでいった。
「あ!その感じだといるなー?」
「…うーん…まぁ」
「どんな人⁉︎」
「どんなって言われても…バレちゃったら困るから」
「バレちゃったらって、えっ⁉︎もしかして、私たちも知ってるとか?」
「……や、えっと…」
「えっ⁉︎ウソ⁉︎マジなの⁉︎誰⁉︎」
目の前で交わされる二人の会話。
気付けば私と紀子も、森さんの好きな人が誰なのか興味津々になってきて、沢ちゃんと三人で森さんに質問を始めていた。