強引同期が甘く豹変しました



「つーか」


だけど目の前にいた矢沢のその声で、私の愚痴は中断された。


「妥協しといてそんな愚痴言える立場かよ」

「…はぁ?」

「五年の猶予与えられて、渋々でもそれを納得したのは自分。同棲するって決めたのも自分。そんなやつとでも妥協して結婚しようって思ったのも自分。なに人のせいにばっかしてんだよ、全部自己責任だろ」


いきなりの展開だった。

やや強い口調で言われた矢沢からのその言葉に、言い返す言葉が見つからない。


「だいたい妥協って何だよ、結婚だぞ?一生一緒にいる、それが結婚だろ?その相手を妥協して決めるだ?ふざけんなマジで」

「なっ、何で矢沢にそんなこと言われなきゃなんないの?あんたに…何がわかるわけ?」

「何もわかんねーよ。っつーか、そんなくだらないことしか考えらんねーおまえの頭の中なんて、わかりたくもないね」


ちょっと待って?何でそんなに怒るわけ?


「おまえがそんなやつだったなんてガッカリだよ」


が、ガッカリって。
こっちだって…そんな風に言われたら…ガッカリだよ。


ふざけてたわけじゃない。
妥協も必要な年齢なのかもしれないって。
若い若いと思っていたのに、気付いたらもうすぐ30なんだって。

そう思うと、もちろんタイムリミットのこともあったけど…わざわざ康介と別れて、新たに理想的な人を見つけて、恋愛って。

そんなこと、考えられなかった。


若い頃は、出会いなんて簡単に訪れてくれていたけど。

年々そんな出会いは減っていく一方だった。


それって、ふざけてるの?

妥協しなきゃいけないくらい危機感を感じるようになったら、それで手を打とうって。


そう思ってしまった私は、ふざけてたのかな。


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