御曹司と愛され蜜月ライフ
そうこうしているうち、ようやくこの席の予約終了時間を迎えたらしい。

た、助かった……。地獄のような2時間を乗り越えた私は、すでに疲労困憊。

店の外に出ながら「二次会行っちゃうー?」なんて恐ろしい会話をしている男女たちから身を隠すように、コソコソと栗山さんの服の裾を掴んだ。



「ちょ、栗山さん。私はもう帰るんで」

「んー? あーそうなの今日は悪かったねー、お疲れ!」



セリフだけ聞けばまともっぽいけど、ここまで全部視線はこの会イチのイケメンに向きっぱなしである。おそるべしアラサー女子の貪欲さ。

今回私の分の飲食代は栗山さんが持ってくれたとはいえ、もう二度と頼まれたって行くもんか……!

決意を新たに「じゃ、失礼します」となんとか顔を引きつらせないで言い切り、私はようやくグループから抜け出すことに成功した。



「(ああ、疲れた……仕事より疲れた……)」



思い浮かべた言葉のままに、深く息を吐き出す。

結局お酒は2杯しか飲んでないし、早く時間が過ぎることばかり考えてたせいかごはんもちゃんと食べた気しないな。どっかコンビニでも寄って帰ろうかなあ。

あ。待てよたしか、冷蔵庫にゆうべの残りの煮物がまだ大量に──……。



「ちょっとねぇ待って、撫子ちゃーん!」



思考に被さるように背後から名前を呼ばれ、ギクッと肩が震えた。

足を止めておそるおそる振り返ってみると、なぜかさっきの合コンで最後に私の隣りにいた茶髪男子が駆け寄って来るところで。

私は全力で逃げ出したい衝動を堪え、なんとかその場に踏みとどまる。
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