御曹司と愛され蜜月ライフ
今の私が唯一胸を張れることといえば、ちゃんと自炊してるところくらいだろうか。まあそれだって根本には、『だらけた干物生活を満喫するために飲食の充実は不可欠』という自論があるからで。
腹が減っては戦はできぬ。趣味にも没頭できぬ。なるべく外出しなくて済むように、食材は週末に1週間分をまとめて買い込むのがマイルールだ。
友達が、いないわけじゃないけど。それでも今は、休日の過ごし方もだいたいこんな感じ。
好きな時間に起きて。どうせ誰かと会う予定もないから気の抜けた格好をして。好きなものを食べて。ひたすらゴロゴロしながらマンガやテレビ三昧。
同僚たちの旅行話なんて全然うらやましくない。だって、旅番組を観れば簡単にそこに行った気になれるし。
恋愛のドキドキなんて別にいらない。だって、自分自身が傷つくこともなく、マンガやドラマで十分補えるから。
こんな自分のこと、虚しいなんて思わない。働く場所があって、生きるために必要なお給料をもらえて、帰る家があって。無駄にがんばることをしない分無駄に感情を乱されることもない毎日を生きる今の私の心は──とても平穏で、しあわせだから。
「……御曹司なんて、現実には絶対面倒くさいだけだっつーの」
少し前にネットで購入した『人をダメにする』と話題のビーズソファーに深々と身体を預け、今読んでいるオフィスラブもののマンガに小さくつっこみを入れる。
物語の中では、憧れの御曹司とめでたく恋人同士になれたヒロインが美人秘書の女性から嫌がらせを受けてショックを受けているシーンで。
ハン、私だったらこんなことされたら10倍にして返すけどね~と思いながらも、フィクションの泥沼展開は楽しいのでうきうきとページをめくる。
意外と身近なとこで、ウチの会社にも御曹司はいるけど……絶対、関わり合いたくないな。
夕方、受付カウンターの中から見た営業部課長の整った横顔を思い出す。……まあそもそも、一介の平社員ごときの私が相手にされるわけもないけど。
勝手に思い出したうえ勝手に敬遠し、そして勝手に結論づけた私は、その後も日付が変わる直前まで二次元の世界に浸り続けたのだった。
腹が減っては戦はできぬ。趣味にも没頭できぬ。なるべく外出しなくて済むように、食材は週末に1週間分をまとめて買い込むのがマイルールだ。
友達が、いないわけじゃないけど。それでも今は、休日の過ごし方もだいたいこんな感じ。
好きな時間に起きて。どうせ誰かと会う予定もないから気の抜けた格好をして。好きなものを食べて。ひたすらゴロゴロしながらマンガやテレビ三昧。
同僚たちの旅行話なんて全然うらやましくない。だって、旅番組を観れば簡単にそこに行った気になれるし。
恋愛のドキドキなんて別にいらない。だって、自分自身が傷つくこともなく、マンガやドラマで十分補えるから。
こんな自分のこと、虚しいなんて思わない。働く場所があって、生きるために必要なお給料をもらえて、帰る家があって。無駄にがんばることをしない分無駄に感情を乱されることもない毎日を生きる今の私の心は──とても平穏で、しあわせだから。
「……御曹司なんて、現実には絶対面倒くさいだけだっつーの」
少し前にネットで購入した『人をダメにする』と話題のビーズソファーに深々と身体を預け、今読んでいるオフィスラブもののマンガに小さくつっこみを入れる。
物語の中では、憧れの御曹司とめでたく恋人同士になれたヒロインが美人秘書の女性から嫌がらせを受けてショックを受けているシーンで。
ハン、私だったらこんなことされたら10倍にして返すけどね~と思いながらも、フィクションの泥沼展開は楽しいのでうきうきとページをめくる。
意外と身近なとこで、ウチの会社にも御曹司はいるけど……絶対、関わり合いたくないな。
夕方、受付カウンターの中から見た営業部課長の整った横顔を思い出す。……まあそもそも、一介の平社員ごときの私が相手にされるわけもないけど。
勝手に思い出したうえ勝手に敬遠し、そして勝手に結論づけた私は、その後も日付が変わる直前まで二次元の世界に浸り続けたのだった。