御曹司と愛され蜜月ライフ
窓を閉めたらきっちりカーテンも引いて、缶を持ったまま再び冷蔵庫へ。

うーん、あんまり料理に時間かける気分じゃないな。納豆チャーハンとコンソメスープでいっか。

冷蔵庫の中から納豆にバターとたまご、それからキャベツと冷凍ごはんを取り出し、合間にビールを流し込みつつちゃちゃっと晩ごはんを作る。

完成した2品と、それからグラスに入れたウーロン茶をローテーブルに並べ、リモコンを操作してテレビをつけた。

慣れた手つきで呼び出したのは、ハードディスクの録画リスト。その中からゆうべ録画していた深夜ドラマを選んで再生ボタンを押す。



「いただきまーす」



テレビの中、コメディタッチなオープニング場面が流れ出す。習慣できちんと両手を合わせてから、スプーンをごはんの中に差し入れた。


卯月 撫子、27歳OL。

彼氏ナシ。すきな人ナシ。というかそもそも恋愛する気ナシ。

社外ではそれなりに身なりや言動を気ぃ遣ってる風にしてますが、家に帰ればだるだるのカッコでドラマやマンガの世界にどっぷり浸かってるいわゆる干物女です。……よし、『つかる』被りでうまいこと言った。

栗山さんは「合コン行こうぜ!」なーんてしょっちゅう誘ってくるけど。私はそんな暇あったら、家でゴロゴロしながら撮り溜めてるドラマ観るかマンガ読んでたいわ。


もぐもぐと咀嚼しつつも視線はテレビへ。他人の心の中を読む能力を持つ男性刑事が主人公なこのドラマ、シリアスっぽい設定のわりに作品自体は深夜ドラマ特有のゆるい空気がただよっていて、ごはんを食べつつだら~っと観るのにはぴったりだ。

そして基本的にそんな雰囲気のくせに不意打ちで感動シーンや衝撃展開を持ってくるから、目が離せない。

今回も、主人公の幼なじみがまさかの裏切り?!という気になるところでエンディングが流れ、ちょうどごはんも食べ終えた私は食器を下げにシンクへと向かう。
< 7 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop