バンテスト魔法書の保持者
でも、話が出来すぎてるようや気もする。


うん、でも行きたくない。


しかし、少し興味はあるにはあるのは事実。


「ディライ司教」


「何かな?リューラちゃん」


「ハンラルト学園、王族、いる?」


「そうだね。ほぼ全部の王族が集まるといっても過言ではないらしいよ」


「リューラ、まさか‥‥‥」


「ハンラルト学園、やっぱ入学する」


私が言い切ると、驚いた顔をするリオウとディライ司教。


「さっきまで嫌がっていたのに、どうしたんだい?」


ディライ司教が、私の真意を探ろうと目を向けてくる。


リオウは、私と小さい頃から一緒にいるからわかってる。


「目的、学園の図書館」


「それだけかい?」


「探したい人、いる。貴族だから、そこに入ってる‥‥‥かも」


嘘は言っていない。


けど、全部も言ってない。


ディライ司教は、私がこれ以上話さないのがわかったようだった。


「‥‥‥わかった。何があるのかは分からないけど、君の意思を尊重しよう。それで、リオウ君はどうするんだい?」


リオウはチラッと私を見ると、大きく息を吐いて言った。


「リューラが行くなら行きます」


「そうか、わかった」


その言葉を最後に、沈黙がしばらく続いた。


ディライ司教とリオウが何を思っているかはわからない。


ただ私は、これからの学園生活に不安しか抱いていないのは確かだった。




『何にも負けない、絶対的な力が欲しい。
 何にも揺るがない、強い心が欲しい。
 そう思うことは、いけないことなの?』




小さいころ、あの人に言われた言葉が頭の中でグルグルと廻った。


時の歯車は、止まることを知らない。


          プロローグ「教会の子」
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