Under the ROSE
人々の輪からはずれ、壁を背に賑やかな広間を眺めていると、カツカツと足音が近づいてきた。

セリスはそちらに目をやると、花のような笑顔を浮かべた。

「リュード様」

藍の長い髪をした、黒い瞳の青年がセリスに微笑みかける。

「皇女殿下、遅れてしまって申し訳ございません。お寂しい思いをさせてしまいましたか」

と、膝を折り、セリスの白魚のような手を取って軽く口付ける。

「ええ、貴方がいてくれないと不安ですの。私は、この場に不似合いな者ですから…」

儚げに微笑んでみせると、リュードはセリスの憂い顔をそっと手のひらで包み込んだ。

「そのようなことをおっしゃらずに。貴女は気高き皇女殿下だ。何も心配なされることはない」

「……やはり貴方がいてくれると安心出来るわ」

「そう言っていただけると私も嬉しいですよ。……では一曲、踊っていただけますか、姫」

リュードは再び、セリスの手に口付けた。

それに対し、可憐な笑みで頷く。

「ええ、喜んで」
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