Under the ROSE

再び人々の輪に戻り、リュードにリードされながらゆったりと踊る。

「まあ、ハルミン家のリュード様だわ」

周りから囁かれる声が耳に届く。

「皇女殿下とお似合いですこと」


──似合いと映るのなら、それでいい。


細腰に回された手に少し力が入ったのを感じ、リュードの肩に頬を寄せた。


このエスタ王国の筆頭貴族、ハルミン家のリュードと出逢ったのは2年前。

それまで王城のはずれの宮にずっと閉じこもっていたセリスを、外界に出してくれたのが彼だった。

籠の鳥であった彼女をどこで見かけたのか、その美しさに心を奪われたと、結婚を申し込まれた。

それに喜んで応じたのはセリスではなく、妃殿下の方だった。

亡き皇帝陛下──セリスとアルフォンスの父である──の後継者問題で揺れていた皇室のため、さっさとセリスを城の外に追い出したかったのだ。

夫の不貞の証であるセリスは、生まれた時から妃殿下に忌み嫌われていた。

それでなくとも陛下や妃殿下に仇なす者に利用されるかもしれないと危惧されていたため、城の外へは一歩も出してはもらえなかった。
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