性悪魔王と妄想モンスター(5/19 63P公開)
うぅぅ…っひっ、く…
ばぁかぁ…!美夜さんの…ばかぁ…。
ポタポタと、むくろ君の写真が映し出されるスマホ画面に雫が落ちる。
人気が無い所を探していたら屋上へ続く階段へとワタシは辿りついた。漫画じゃないんだからもちろん屋上は立ち入り禁止で開いていない。
シーンとした空間に、ワタシの嗚咽だけが響く。ペタンと階段に座り込み、体を小さくするようにうずくまる。
なんで、こんなことに…。
ワタシの大好きな大好きなむくろ君…画面の中にいるむくろ君はカメラ目線でパックのカフェオレを飲んでいらっしゃる。
イケメンイラストの中からそのまま出てきたようなむくろ君の姿は見ているだけで幸せになれる…だから、たとえむくろ君が本当にワタシに嫌気をさしたんだとしてもワタシはいつも通り変わらない。
むくろ君を大好きでいる。
だけど、なんでこんなに…涙が止まらないの?ねぇ、なんで?どうして?
「っく、ぅう…ぁ」
__ブブ、ブブー
手に持っていたスマホが鳴って、体がビクッと反応した。
それは着信で相手は……
ワタシは迷いなく拒否を押した。
すると、ワタシの体に影が重なった。
ゆっくり顔を上げると、
「よぉ、イチコ。切ってんじゃねぇぞ」
よく知った顔見知りがワタシを見下ろしていた。