溺愛伯爵さまが離してくれません!
「心が通うようになって、いざ結婚って時にやっぱり身分の差で反対に合ってしまったのよ。けれど、彼は曲げなかった。私と一緒になれないくらいなら、自分が爵位を投げうってもいいってそう言って、結婚してくれた。最初は彼が元々住んでいた所で生活していたの、でも、妻がただの庶民だからって嫌がらせを受けたりして、少し生活が困窮して・・・」

「それで、この街でひっそりと暮らすことにしたの。前住んでいた屋敷を売ってそのお金で、昔どこかの貴族の方が住んでいたあの古い屋敷を買って。彼はこの街の為に色々としてくれて、街の人々もそんな彼にとても良くしてくれた。彼が亡くなった後も、私の事をとても気にかけてくれて。だから、私はこの街が大好きなの。死ぬまで、この街で住んでいたいと思うのよ」

知らなかった・・・。
奥様がそんな人生を歩まれていただなんて。

たくさん傷ついて、苦しんで。
それでも死ぬまでずっと一緒にいたんだ。

羨ましい。本当に、羨ましい。

私にもその強さがあったのなら、身分なんて考えずに、想いを伝えることが出来たのかもしれない。

でも、私は弱い。

あの人に迷惑を掛ける事が。あの人を苦しませる事が。
それが怖くて逃げてしまった。

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