溺愛伯爵さまが離してくれません!
街の中はこの雨で、人もまばら。
出ている露店も少なく、商品もあまり種類がありません。

少ない商品の中から、今日の料理の内容を頭で思い浮かべます。

今日は少し肌寒いから温かいミルクスープと、ライ麦のパン。
それに、鶏肉があるからそれをチーズと一緒に焼いて・・・。

「すみません、これ下さい」

「あいよ、20リントね」

カゴからお金を取り出し、お店の人に手渡します。
買った商品をカゴの中に入れ、今日の分の買い物は終了。

雨は依然と激しく降り続いておりました。
靄もかかり、あまり遠くまで見えなくなっています。

「とても見えにくいわ・・・。暗くなる前に早く帰らなきゃ」

私は急いで屋敷へと戻る事にしました。

パシャパシャ、と水の跳ねる音。
雨が顔に当たり、羽織っていたストールを鼻元まで覆って隠します。

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