溺愛伯爵さまが離してくれません!

奥様の説得にも私は頭を横に振るだけで、頑なに意思を曲げませんでした。

誰が何を言おうとも、私はそう決めた。
もう伯爵さまには会わない。
これからもずっと。

そんな頑なな私に諦めたのか、奥様はふう、と小さく息を吐くと私の手を握りじっと見つめて語りかけます。

「・・・あなたがそう言うなら仕方がないけれど、でも、これだけは忘れないで。ちょっとした意地は後に大きな後悔を生む事になる。それはあなただけでなく、あなたに関わる人もみんな同じなの。間違いを恥じる事はないのよ、反省すればいいだけ。そして、その後は素直になる勇気を持つ事よ。それだけでいい方向へ行く事も出来るのよ」

「奥様・・・」

「ゆっくりと考えて、ね?」

「・・・・」

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