溺愛伯爵さまが離してくれません!
その言葉に、伯爵さまは強く私を抱きしめます。
心なしか伯爵さまの身体が震えているように感じられました。

「僕の一番欲しかった言葉を言ってくれてありがとう・・・!愛しているよリーナ!!」

「・・・泣いているのですか?」

「これが泣かずになんていられるかい?」

ふふっと笑うと、伯爵さまは少し拗ねたような表情を浮かべ、そしてゆっくりと唇を落としました。
柔らかくて温かな唇から、幸せな気持ちが溢れていくような感覚。

伯爵と唇を重ねた時、改めて思ったのです。
もうこれから何があっても、伯爵さまが近くにいるのなら何でも耐えられると。

貴族という世界はそう甘くはない所で、必ず辛く苦しい思いをする事でしょう。
でも。

伯爵さまがいるのなら。
隣に伯爵さまがいるだけで。

どれだけ辛い事が待ち受けていようとも、きっと乗り越えられる。

・・・そう思ったのでした。

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