溺愛伯爵さまが離してくれません!

「・・・帰ろうか。あの婦人にお世話になっていたんだろう?」

どのくらいの時間抱き合っていたでしょうか。
伯爵さまがそう呟き、ハッと現実に戻されました。

そう。私が戻ると決めた事を奥様に報告しなければ。

奥様にはとても助けられて、元気づけられて。
奥様がいなかったら、私は今こうして伯爵さまと一緒にいる事は出来なかった。
本当に、感謝してもしきれないくらい・・・。

「ええ。コーレル子爵の奥様なのです。とっても良くして頂いて・・・。ちゃんとお礼の言葉を言わないと」

"コーレル子爵"と聞き、伯爵さまの顔色が一瞬で変わりました。
青ざめ、そして動揺を隠しきれない様子でした。

「どう、されたのです?」

「コーレル子爵って、・・・まさか。コーレル家はとっくの昔にみな死んでしまってもうないはずだけど・・・」
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