溺愛伯爵さまが離してくれません!
「・・・いい加減に起きて下さいまし、アルフォンソ伯爵さま。今日も昼からお仕事ではありませんか」

低いドスの効いた声で、そう声を掛けます。
その声にようやくゆっくりと、身体を動かしました。

「・・・ん。・・・もう少し寝かせてくれないか、リーナ・・・」

「なりません。そのような自堕落な生活はよくありません。起きて下さい」

「・・・き・・厳しいな・・・」

埒が明かないので、がばりと掛けている布団を剥がします。

上半身裸のあられもない姿。

ですがそれはいつもの事。
表情を一切崩さずに、私は剥がした布団を足元へ追いやります。

「分かった、起きるよ。おはよう、リーナ」

「おはようございます、伯爵さま。朝食の準備はとっくに出来ております。さっさと着替えて食堂へ」

ふああ、と大きなあくびをしている伯爵さまをよそに、私はそれだけを伝えると部屋を出ました。

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