溺愛伯爵さまが離してくれません!
「―――カイル様、よろしいのですか?」

リーナが屋敷から去った後、カイルの背後からする、声。
その声にカイルは後ろを振り向く。
そこにはクレアが立っていた。

「クレア。なんだ、見ていたのか」

「ええ。邪魔をしないようにこっそりと。・・・しかしカイル様、これでよろしかったのですか?」

「・・・いいわけがないだろう?」

「・・・でしょうね」

クレアはくくっ、と笑う。
カイルはそんなクレアを、拗ねたような顔を覗かせながら見る。

「まったくカイル様は素直でいらっしゃらないんだから。どうして回りくどい事ばかり」

「仕方ないだろう。まさかこんな事になるなんて思っていなかったんだ。もう少しこのままでいれると思っていたのに、こんな早くに」

「読みが甘かったですわね、カイル様」

未だ笑いを堪えるクレアに反して、カイルは大きくため息を漏らす。


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